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2005年5月16日 定例記者会見

小泉首相の靖国参拝答弁は許されない
JR福知山線事故・・・「防ぐチャンスは何度もあった」穀田質問で明らかに
諫早干拓さし止め訴訟・・・とんでもない福岡高裁決定

 【小泉首相の靖国参拝答弁は許されない


 今朝行われた予算委員会の集中審議の中で、小泉総理が靖国神社参拝問題について、「戦没者に対して心からの追悼の誠を献げるのはどこがいけないのか。私は理解出来ない」と述べました。また、東条英機などのA級戦犯の問題について、「そもそも罪を憎んで人を憎まずだ」、こういう話をしました。しかし、これは重大な発言だと思います。

 靖国神社というのは単なる宗教施設ではありません。戦前は陸軍省、海軍省の管轄の神社であり、天皇のために戦争で死んだら神として祀られる、天皇のために死ぬことは最大の栄誉であり誇りである、「靖国で会おう、九段で会おう」ということを合い言葉にして、国民を戦争に駆りたてた、そういう役割を果たしたのが靖国神社です。

 戦後はどうか。戦後もあの戦争を侵略戦争ではなくて、自存自衛、自らの国の存立のためには他国の領土を奪ってもかまわないんだという立場に立った、いわば戦後世界の原点を否定する発信基地になっているのが靖国神社です。

 戦没者の追悼と言いますが、靖国神社が出しているパンフレットやホームページその他を見ますと、英霊の武勲、勲(いさおし)ですね、勲(いさおし)というのは「広辞苑」によると、「事をうまく成し遂げた名誉」、すなわち戦争行為そのものを讃えることを使命としている神社だということです。

 それからA級戦犯をどうして合祀しているかということについても、これは靖国神社のホームページ、「靖国Q&A」というのを見てもらったらわかりますが、「日本と戦った連合軍の形ばかりの裁判によって、一方的に戦争犯罪人という濡れ衣をきせられ、無惨にも命を断たれた方々」を祀るんだ、いわば汚名をそそぐ、濡れ衣をきせられたのを振り払うために合祀をしているんだとしています。

 亡くなった方の追悼に最もふさわしくない、「戦前の侵略戦争を正しい戦争」とする考え方の発信地になっているのが今の靖国神社です。

 個人的な信念だったら許されるのかということですが、いくら個人的な信念のためとはいえ、首相であり、しかも間違った信念のために、近隣諸国との友好という日本の国益を覆すということは許されないと思います。

 それから今日の集中審議のやりとりでもう一つ重大だなと思ったのは、小泉首相はこう言っておられるんです。「国際社会から孤立して米英との戦争に突入した、従って大事なことは国際社会から孤立しないことだ、だから戦前の敵国とも友好関係を結ぶべきだ、国際協調が大事だ」と。

 あの戦争を「自分達の国の存立のために他国の領土を奪ってもかまわないという自存自衛のやむを得なかった戦争だった」という、このことに対する反省のうえに戦後世界は成り立っている。

 ドイツのシュレーダー首相なども、「あの日本・ドイツ・イタリアが行った侵略戦争に対する明確な反省に立ってこそ戦後世界で生きていける」と、「その反省に立っているからフランスとも仲良くしていけるんだ」と最近も言っています。世界の中であの侵略戦争に対して明確な反省に立っていない国は日本の指導者ぐらいでしょう。それほど異常な、いわば戦後世界で生きていくことが出来ないぐらいひどい戦争のとらえ方です。

 例えばみなさんもご存知のように、「満蒙は日本の生命線だ」いうことを言って、中国侵略をしました。それからアジアでの戦争をとってみても、「ヨーロッパの勢力を追い払ってアジアの解放のための戦争だった」みたいなことを、今さかんに靖国神社も、扶桑者の歴史教科書も言っています。まったくそういうことへの反省がない発言だと思います。これは許されないと思います。

記者 総理自身、靖国神社にいつ行くかなど踏み込んだことは言っていませんが。

市田 行くべきではないということです。これがわが党の一貫した態度です。それで外国から言われたからそれに屈するわけにはいかない云々とか、中国・韓国の干渉とか言っていますが、これはそういう性格の問題ではないんですね。自らの戦後の日本の出発点を否定する行為で、どこから言われる言われないにかかわらず、日本の政府としてやってはならないことだという性格です。

 誤解のないように言っておきますが、例えば一般の個人の親族が靖国神社に祀られている、そこへお参りに行く、それは自由です。例えば私の友だちでもお父さんが戦争で亡くなって靖国神社に祀られているのでお参りに行ってきたというのをけしからんというようなことを言っているんじゃありません。

 一国の総理大臣、国を代表する人間が、先ほど言ったような性格の靖国神社に参拝するということは「不戦の誓い」とまったく反することです。あのアジア・アフリカ首脳会議、バンドン会議で小泉首相は「植民地支配と侵略」に対してお詫びするいうことを言った村山談話をそのまま述べたわけですが、言っていることとまったく反する行為だと思います。アジアの国々が批判の声をあげる、同時にアジアの国々から批判の声が上がるか上がらないかにかかわらず、日本政府としてやってはならない行為だと思います。少なくとも総理の任にある間小泉氏は行くべきではないというのがわれわれの立場です。

 小泉首相は「適切に対応する」と言ったそうですが、行かないとは言わなかったですね。参拝の日について15日を13日にしたり、正月にしても本質が変わるものではないというのがわれわれの立場です。

 【JR福知山線事故・・・「防ぐチャンスは何度もあった」穀田質問で明らかに】


 今朝から行われていた集中審議で、JR事故問題について穀田議員が追及した中で非常に重大だなと思いましたのは、あの事故をとらえるにあたってもちろん再発防止も大事ですし、事故原因の究明も大事なんですが、今日の穀田議員の質問の一番大きな点は、あの事故は防げた、やむなく仕方なく起こったというのではなくて、前兆、予兆があって、何度もスピードの出し過ぎの問題だとか、スピードを出し過ぎた時にはきちんと自動的に止まる装置を付ける必要があるだとか、こういう事は以前から議論になっていて、そのことについてJRと国がきちんとした対応していれば100人を超す尊い命を失うことなく済んだ、数百人の怪我をする人がなくて済んだということです。

 防げたはずなのにきちんとした事をやらなかった問題について、穀田議員が追及して総理は答弁で、「私鉄に対する対応とJRへの対応が違うということが事実だとすれば政府にも反省すべき点がある」と述べました。これは穀田議員が「対応が違うじゃないか」と。大手私鉄に対して速度制限ATSの設置を義務付けていた通達を廃止してJRへの適用を避けた問題を追及したんです。そしたら総理は「それが事実だったら政府にも重大な責任がある」ということを述べました。要するにこれまでも設置を義務付けるチャンスは幾度もあったのにそれを逃してきた、悔やまれてならないという立場から穀田議員は質問しました。非常に大事な点だったと思います。

 経常利益は毎年増えながら、JR西日本の場合ATS―P設置工事費は98の21億円から04年度は5億円に激減する。ここにも公共交通機関には何よりも安全が大事なのに、安全よりも競争・効率ということを重視した結果がこういうことをもたらした。われわれどんな問題でも民営はダメかというと、そんな立場ではありませんが、安全まで民間に委ねてよいのかということを今度の事故は示しているということを追及した点で大きな意味があったと思っています。

 【諫早干拓さし止め訴訟・・・とんでもない福岡高裁決定】


 それからこれは、地元の弁護団の声明なんかが私の手元には入っていないのですが、今日の諫早干拓工事差し止め仮処分の問題についての裁判所の今日の判断ですね、極めて不当だと思います。

 決定文を読んでみたら、因果関係は否定出来ない、諫早湾干拓と有明海の漁業環境の悪化との関連性は全部認めているんですね、認めているんだけれども原因はこれだけだというふうに断定できない、全部因果関係を認めていながら、100%これだけが原因だと言えないので工事の差し止めはおかしいという考え方です。これは環境問題をまったく理解していない。

 みなさんもご存知だと思いますが、環境の世界では「予防原則」という考え方があります。「予防原則」というのはどういうことかというと、ヨーロッパでは趨勢になっている話ですが、断定出来なくてもその恐れ、可能性があるという場合にはそれは止めさせないといったん破壊された環境は二度と元には戻らない、しかも元に戻すためには莫大なお金がかかる、そして完全には元に戻らない。そのためにそういう可能性がかなり高いという場合には、環境破壊につながることはやらないというのが「予防原則」です。

 そういう立場から言っても、これは因果関係が無いと言っていない、全部因果関係を認めている、しかし100%それが原因だと必ずしも言えないのでダメだというわけですから、極めて不当な決定だと思います。地元の弁護団がどういう態度をとられるのかは別の問題ですが、私の感想はそういうことです。

記者 法案への対応について聞きたいのですが、会社法は明日の衆議院本会議で採決ですが、共産党の態度はどのようになりますか。

市田 反対です。