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ご意見ご要望をお寄せ下さい 日本共産党 副委員長・参議院議員 市田忠義
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2010年11月21日(日)「しんぶん赤旗」

市場任せのTPPやめ農業・環境・雇用守るルールを

参院予算委 市田書記局長の質問


 日本共産党の市田忠義書記局長が、19日の参院予算委員会で行った質問の内容を紹介します。


写真

(写真)質問する市田忠義書記局長=19日、参院予算委

 市田書記局長 今月10日、東京では全国的規模の、そして12日には札幌市でTPP(環太平洋連携協定)参加反対の北海道民総決起集会が開かれました。日本各地で同様の集会が相次いで開かれています。

 いずれも、農林水産団体だけではなくて、経済団体、地方議会、消費者、市民など、多くの分野の人々が集まって、大変大規模な集会になっています。

 総理に聞きます。これほどの規模で、北海道をはじめ日本全体が立ち上がった、このことをどう受け止めておられるでしょうか。

 菅直人首相 私どもは、先の「(包括的経済連携に関する)基本方針」のなかで、経済連携、いわゆる「開国をする」という方向と、農業の再生を両立させると、そういう方針を明確にいたしました。

 しかし、もちろんこの経済連携、TPPについてはご承知のように、関係国との協議という段階でありますけれども、そういうことについて、農業に携わっておられる皆さんが、いろいろ心配をなさっているということは、そのとおりだと思います。

 ただ、あとの議論になるかもしれませんが、農業の現状というのは、必ずしもこの経済連携の問題を抜きにしても、たとえば非常に高齢化がすすんでいるとか、この間で全体の規模も小さくなっているとか、いろんな問題がありまして、私は、逆に農業再生のためには、もう待ったなしのところまできていると。ですから、この両立こそが日本の将来を開く道になると、このように考えております。

 市田 農業団体だけじゃないんです。市民も経済団体も消費者も立ち上がっている、それをどう受け止めているかと聞いたんです。国民の血の出るような叫びを、総理はわかっておられないと私は、思うんです。

市田氏 TPPは雇用も里山も破壊

首相 開国と農業を両立

市田 北海道でさえ壊滅的、両立は不可能

 市田 農水省に聞きます。TPPへの参加で北海道経済にどういう影響が出るか。北海道(庁)の行った試算を述べてください。

 鹿野道彦農水相 北海道農政部で行った試算は、道内農業生産や関連産業等への影響は2兆1千億円程度で、雇用は17万3000人程度減少、農家戸数は3万3000戸程度減少、こういうことであります。

北海道では農業生産半減、農家は7割減る  

 市田 農業生産額は実に半分以下であります。農家戸数は7割以上減ると。衝撃的な数字であります。

 では、日本全体の農水産物等への影響はどうなっていますか。

 農水相 多面的機能、農産物と水産物あわせまして4兆5000億円産出が減るというふうな試算を出させていただいております。

 市田 それ以外にもいろんな数字を今日お答えくださいと、きのういっておいたでしょう。

 農水相 国内の農産物の生産額は4兆5000億円程度減少、食料自給率は40%から13%に低下、農業の多面的機能は3兆7000億円程度喪失、関連産業への影響は国内総生産で8兆4000億円程度減少、350万人程度の就業機会の減少と、こういうふうな試算を出しているところです。

 市田 そういう数字はあんまりいいたくなかったんでしょう。TPPに参加することになれば、例外なく関税撤廃が求められて、アメリカ、オーストラリアからの農産物の大量輸入で、日本の農業は壊滅し、国内生産は崩壊する。自給率13%ということになれば、国民の胃袋のほとんどが外国にゆだねられる。関連産業も廃業に追い込まれるし、地方の雇用も失われる。里山荒廃どころか、日本の農山村地帯は見る影もなくなるでしょう。そういう事態になることを総理はどうお考えでしょうか。

 首相 まさにそうしてはならないわけです。いまのご質問のお答えは、何も対策を打たないで、たとえばすべての関税をゼロにしたという仮定のなかで、たしか出された数字でありまして、そうしてはならないからこそ先ほど申し上げたように(「開国」と農業再生が)両立するための対応をしようと。しかも、あえて先ほども申し上げましたけれども、それではいまの状態のままの形を継続したときに、現在農業に就業している方の平均年齢が65・8歳ということになりますと、もっともっと若い人が農業に参加し、そして食料を食品、あるいはレストランで出すといった「6次産業」化とか、そういうことをどんどん広げていかなければ、農業というものが地域の中で維持できなくなるという問題意識があって申し上げているわけで、何もやらないでいま出された数字のようになっていいとか、それを覚悟しているということでは全くありません。

 市田 何も手を打たなければ(というが)、手を打つのは当たり前であります。

 いろいろ国内対策をやるといわれた。では聞きましょう。壊滅的打撃を受けるという試算があった北海道農業の規模は、いったいどういうレベルか。1戸あたりの農地面積、酪農経営飼養頭数の北海道とEU(欧州連合)の比較、肉用牛飼養頭数の北海道とアメリカの対比はどうなっているか。

 農水相 EU、米国および北海道の酪農経営の1戸あたりの飼養頭数につきましては、EUは1戸あたり10頭、米国は138頭、北海道は64頭、こういうことであります。

 それから、肉用牛の経営の1戸あたりの飼養頭数につきましては、米国および北海道の比較でございますけれども、米国は84頭、北海道は178頭、こういうふうなことでございます。

 また、1戸あたりの経営の耕地面積につきましては、EUは13・9ヘクタール、米国は186・9ヘクタール、北海道は20・5ヘクタールと、こういうことです。

 市田 いま説明があったように、北海道農業はすでにEUレベルを超えて、肉用牛ではアメリカをも超えている。貿易の完全自由化・市場開放と、農業を「両立」させる対策を取るんだと菅総理はいわれた、(しかし)それは不可能なんです。世界的に見ても大規模化している北海道でさえ、壊滅的な打撃を受ける。

 総理は、「第三の開国」ということをいわれます。総理のいい方を聞いていると、日本の貿易は、農林水産物を中心に、まるで“鎖国”状態にあるかのように聞こえます。

図

農産物の関税率は世界で2番目に低い

 市田 そこで農水省に聞きます。主要国の農産物の平均関税率はどうなっていますか。

 農水相 農産物の平均関税率は、インドが124・3%、韓国が62・2%、メキシコが42・9%、EUが19・5%、米国は5・5%、日本が11・7%。

 市田 いまお話があったように、日本は11・7%、アメリカに次いで世界で2番目に低い。日本は“鎖国”どころか十分すぎるほど国が開かれている。

 そして、この関税率の低さは、今日の日本農業の疲弊、困難の主要な原因だったんです。TPPへの参加は、それに追い打ちをかけて、いわば崖(がけ)っぷちに立っている人を――それを救うのが政治の責任なのに――崖っぷちに立っている人を、崖から突き落とすようなものなんです。(「そうだ」の声)

 国民はこうした現状を前にして、食料自給率についてどう考えているのか。この10月、政府が行った「特別世論調査」というのがあります。この「特別世論調査」で、食料自給率についてどういう答えがでていますか。

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 農水相 本年9月に、内閣府が実施した世論調査によりますと、「今後のわが国の食料自給率を高めるべきだ」と考えている国民の割合は「高めるべき」「どちらかというと高めるべき」をあわせて90・7%と、こういう数字です。

 市田 実に9割の人が、食料自給率を高めるべきだと(答えている)。では、同じ調査で「外国産のほうが安い場合は、輸入食料のほうがいい」と答えた人はどれぐらいいますか。

 農水相 これも、本年9月に内閣府が実施した世論調査によりますと、外国産のほうが安い食料について「輸入する方がよい」と考えている国民の割合は、5・4%という数字であります。

 市田 安ければ外国産の方がいいと考えている人はわずか5・4%なんです。政府が行った世論調査でこういう答えが出ている。こういう冷厳な数字を私はしっかり見つめるべきだと(思います)。要するに、圧倒的な国民が望んでいることは、これ以上輸入に頼ることではなくて、「安全で安心な食料は日本の大地から」ということなんです。

 その規模がヨーロッパ並みのレベルに達している北海道農業さえ壊滅的打撃を受けるということは、先ほどの北海道の試算の紹介で明らかになりました。そういう状況の下で、いくら自給率を向上させると口でいっても、それを信用する国民、とりわけ農業者はほとんど皆無に近いでしょう。


TPPの日本経済への影響

(農林水産省試算、即時関税撤廃の場合)

農業生産      4.5兆円減

食料自給率  40%→13%へ低下

農業の多面的機能 3.7兆円喪失

国内総生産     8.4兆円減

雇用        350万人減

TPPの北海道への影響

影響額合計 2兆1254億円減少

うち農業産出額       5563億円減少

うち生産条件不利補正交付金 617億円減少

うち関連産業        5215億円減少

うち地域経済        9859億円減少

◇雇用           17万3000人減少

◇農家戸数         3万3000戸減少


市田 TPPは米豪と輸出大企業の利益が目的

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 市田 もう一つお聞きします。TPPに現在参加している国はどこですか。

 前原誠司外相 参加をしている国は、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国でございまして、交渉中はその4カ国プラス、アメリカ、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアの合計9カ国でございます。

 市田 では、この9カ国のうち、わが国がすでにFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)を結んでいる国はどこでしょうか。

 外相 シンガポール、チリ、ブルネイ、ベトナム、マレーシア。ペルーは最終調整段階でございます。

参加・交渉中は9カ国。事実上の日米FTA

 市田 「バスに乗り遅れるな」とか「世界のすう勢だ」と(いわれる)。(しかし)交渉に参加している国を合わせても9カ国なんですよ。結局、2国間のFTAが進まないアメリカ、オーストラリアという農林水産物輸出大国に門戸を開いてやろうと、これが狙いなんです。(「そうだ」の声)

 日本にとってのTPP参加は事実上、日米FTAの締結と同じ意味を持つ。アメリカにとっては、アジアでの経済基盤を確保するためのもので、これは私がいっているだけじゃないんです。アメリカ政府の高官が、アメリカの議会で公然と語っていることであります。

 また、日本でTPPへの参加をもっとも強く求めているのは、どういう勢力か。日本経団連、なかでも自動車、電機などの輸出大企業であります。

 内閣府にお聞きいたします。TPPに参加した場合、GDP(国内総生産)を何パーセント押し上げるというふうに試算していますか。

 玄葉光一郎国家戦略担当相 いわゆるGTAPモデル、WTO(世界貿易機関)とか世銀などで広く用いられているモデルでありますけれども、その試算でいくと、TPPの参加で実質GDPで0・48から0・65(%)。ちなみにFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)全体が出来上がるという前提でいけば、1・36%で6・7兆円ということでございます。

 市田 結局、日本全体で見ると、GDPはほとんど増えないんですよ。はっきりしていることは、これまでも巨大な利益を上げてきた一部の輸出大企業の利益のために、農業も漁業も林業も、それにつながる地域社会もメチャクチャにする。私は、これらを守るルールをこそ、いま政治は考えるべきだと思うんです。

 農林水産業というのは、単なる数字だけで測ることはできません。国土の保全、環境・景観の保持、文化の継承、こういう多面的な機能を持っています。

 日本学術会議が農水省の諮問に答えて明らかにした農業、林業、漁業、これらの多面的機能の貨幣評価はそれぞれいくらですか。

洪水防止・水質浄化・生態系保全…多面的機能がある

 農水相 学術会議によりまして答申されたのが、農業では、その各分野の評価額でございますけれども、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能で年間約8兆円、森林では表面浸食防止機能、水質浄化機能などで年間約70兆円、水産業・漁村では、物質循環の補完機能、生態系保全機能などで年間約11兆円と、こういう試算が出ておるところであります。

 市田 いまいわれたとおりで、農林水産業というのは、本当に単なる数字だけでは測れない、これだけの多面的機能をもっている。農業だけでおよそ8兆円、そして林業だけでおよそ70兆円、漁業でいまいわれたように11兆円です。

 農業でいうと、いまいわれたこの8兆円のうち、冒頭紹介されたように関税撤廃で3・7兆円が損なわれる。半減です。

 11月10日、日比谷の野外音楽堂で開かれたJAなどが主催した「TPP交渉への参加に反対し、日本の食を守る緊急全国集会」、ここでどういう決議がされたか。この文書には次のようなくだりがあります。「今、たしかに『歴史の分水嶺(れい)』に立っている。地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界中から食料を買いあさってきたこれまでの国の生き方を反省しなければならない」と。私、この指摘は大変重いと思うんです。(「そうだ」の声)

 これは、JAだけが主催した集会ではありません。JA以外にも、水産関係、あるいは林業、森林組合の関係も、さまざまな団体が参加した集会でした。


農林水産業の多面的機能の貨幣評価

農業 8兆円 洪水防止、河川流況安定、土壌浸食・土砂崩壊防止、保養など

森林 70兆円 表面侵食防止、表層崩壊防止、洪水緩和、水資源貯留、水質浄化、二酸化炭素吸収、レクリエーションなど

漁業 11兆円 物質循環の補完、環境保全、生態系保全、保養など

(日本学術会議、三菱総合研 究所の資料から)


市田 「食料主権」は世界の流れ

首相 望ましい考えだ

市田 世界に逆行する潮流に追随するな

 市田 いま世界では、食料を市場任せにすることによる害悪が明らかになって、各国の「食料主権」を保障するルールの確立、これを求める流れが大変広がってきています。

 総理にお聞きしたいんですが、こういう自国の食料は自国でまかなうことを基本にしよう、ただ海外に輸出したらそれでいいんだ、それではだめなんだという、この世界の流れについてどういう認識をお持ちでしょうか。

 首相 私にも、たくさんの消費者運動とかいろんな有機農業の運動をやっている昔からの仲間がおりまして、確かに多くのそういう関係者が心配をしておられます。

 同時に、私が最初から申し上げていますように、それではこれまでの形のままで、とくにその経済的な連携をやらないで、農業が自然に立ち直ってくるかといえば、決してそうではない状況にあることを、やはり一方で考えなければならないわけです。

 私も民主党のなかで、農業再生本部の本部長をやらされたこともありまして、そういう中から現在の戸別所得補償の考え方も、いろんな関係者のなかから出てきたわけであります。

 「食料主権」の考え方も、私はまさにそのとおりだと思っております。つまりは、地産地消、できるだけ自分たちの国、自分たちの地域でつくられたもので自分たちが生きていくことができる、そういう社会が望ましいと思っています。

 そういうことを両立させるというのは、もちろん単純に簡単だとは申し上げません。しかし、たとえばAPEC(アジア太平洋経済協力会議)でこられた皆さんが、日本の料理を食べてですね、大変おいしいということをいわれ、また日本産の野菜などでつくった精進料理などを食べられて、大変日本料理はすばらしいということを言っていただいています。つまりは、もっともっと日本の食料、あるいは食品、料理、力があると思うんです。そういうところに参入したい若い人も潜在的にはかなりおられるはずなんです。そういうことを生かして、結果としていま市田先生のいわれたような、「食料主権」を自分たちの力で確立できるような、そういう農業にしていきたいと、そのこととの両立を考えているわけです。

後継者が育たないのは市場任せにしたから

 市田 両立が困難だということも、菅総理はさきほどいわれました。どうして、後継者が育たないかといったら、農業だけで食べていけないからなんですよ(「そうだ」の声)。輸入自由化をやって、価格も流通も市場任せにしてきたから、農業所得が減って、後継ぎが減っているんです。なにか平均年齢が65歳とかそんなところに理由があるんじゃないんです。

 外務省に聞きます。2004年4月16日に、第60回国連人権委員会で、「各国政府に対し食料に対する権利を尊重し、保護し、履行するよう勧告する」。こういう内容の「食料に対する権利に関する特別報告書」が出され、この報告書に関する決議が、日本を含む圧倒的多数の国の賛成で、採択をされました。

 反対した国はどこか、棄権した国はどこか、挙げてください。

 外相 現在、人権理事会というものに改組されていますが、当時2004年は国連人権委員会というものでございまして、加盟国は53カ国でございました。反対をしたのはアメリカ、棄権票を投じたのはオーストラリアでございます。

労働者も低賃金競争にさらされる

 市田 圧倒的多数で、「食料主権」につながる考え方が採択されているんですよ。反対したのはアメリカ、棄権はオーストラリアだけ。

 結局、自国の農産物輸出拡大のためなら、こういう世界の流れに真っ向から反対して恥じない、ほかの国がどうなってもいい、こういうアメリカなどが進めている潮流に追随していっていいのか(「そうだ」「そのとおり」の声)。TPPは、農業だけにとどまりません。金融、保険、公共事業の入札、医師、看護師、あるいは介護士などの労働市場の開放まで含まれています。賃金も、アジア諸国の低賃金との競争にさらされて、大幅に引き下げられる危険があります。

 市場原理万能で、なんでもかんでも市場任せにしていくというやり方は、農業をみても、環境をみても、いまの日本の雇用をみても、破たんはすでに明らかであります。

 わが党は、世界経済が結びついて、貿易が拡大することそれ自体が悪いといっているわけではありません。そういうなかでも、たとえば「食料主権」のように、農業、食料、あるいは環境、労働などは、市場だけに任せていてはなりたたなくなるじゃないか。そこをはっきりさせて、それらを守るルールをつくることこそが、21世紀のまともな経済発展の方向だということを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)


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